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船のファンネルデザインに隠された秘密とは

  • 海運全般

2020年12月04日

ファンネルぼかし囲み
("MOL FSRU Challenger":オレンジ色の部分がファンネル(船の煙突))

海岸を歩いているとき、車や電車で海沿いを走っているときなど、遠くで海を航行している船を見て「どこの会社の船かな」と思われたことがありますか?船のファンネル(煙突)に目を向けてみると、様々なデザインがあるのがわかります。そのデザインは何を意味しているのでしょうか?今回はその秘密に迫ります。

ファンネルマークが示すもの

実は、船のファンネルデザインは、それぞれの船会社が固有に持っているものです。それは、「ファンネルマーク」とも呼ばれる程、ファンネルを見ると、世界のどの国にいても、どの船会社の船かがわかるのです。なんと、日本国内だけでも、70近くものファンネルマークが存在するようです!(出典:https://www.jsanet.or.jp/kids/mark/index.html

商船三井も含め、それぞれの船会社は、会社の特徴や思いをのせた色やデザインを、ファンネルマークにしています。

商船三井のファンネルはどんなデザイン?

さて、商船三井のファンネルはというと、下の写真のように、どの船もオレンジ一色で統一されています。このオレンジ一色でデザインのないファンネル、1964年に「大阪商船」と「三井船舶」が合併し、「大阪商船三井船舶」が発足した50年以上前から使われています。一見関係のないように見えるこの色、なぜこのようになったのでしょうか?

MOL has many multi-types ships

「ナンバーワンにはマークは要らない」?!

合併当時の1964年、大阪商船は「白の大の字」(写真左下)、三井船舶は「白の三本線」(写真右下)のファンネルマークでした。それぞれの会社がそれぞれの歴史・誇りを持ち、このマークで世界中を航海していました。
双方の社員にとって思い出深いファンネルマークでしたが、新会社発足に伴い新しいものを考えなければなりません。

しかしなかなか決まらない。

そのような中、大阪商船側の交渉委員長である加福龍郎専務が言いました。「大阪商船三井船舶はトップ企業である。トップにはマークは必要ない。2位以下がマークをつければよい。イギリスの郵便切手をごらんなさい。国名は印刷されていません。ドイツ、フランス、アメリカの切手はみな国名が記入されている。ナンバーワンにはマークは要らないのです。」

このようにして、「ノーマーク」とすることが決定した、と言われています。

Old ship funnel Mitsui and Osaka(左:大阪商船、右:三井船舶(当時))

オレンOld cigarette in Meiji eraジ色は太陽の光?

しかし、今度はその色をどうするかが問題になり、こちらも難航しました。大阪商船専務の坪川五郎と、三井船舶常務の鈴木久之助が相談していると、ふと机の上のたばこの箱が目に入りました。このたばこは「光」というたばこで、箱の色がオレンジでした(右写真)。諸説ありますが、この「光」の箱がオレンジだったのを見て、「ノーマークのオレンジファンネル」が誕生することとなったと言われています。

大阪商船の最後の社内報「商船社内報」にはこう記載があります。

「社船の煙突から、お互いに名残惜しい大の字も、そして三本の筋も順次きれいに拭い消され、意気も新たなオレンジ一色の思い切ったシンボルの、七洋を駈ける日がやって来たのです。そのうちには、『太陽の没する時があっても、煙突をオレンジ色に塗った船だけは、世界中のどの港に行ってもいつでもお目にかかれる』といった話に花が咲くのも、そう遠い将来ではないでしょう。そして月日とともに、オレンジ色への世界の人々への親しみの感情が、旧マークにかわってだんだん濃く深くなっていくことでしょう。」

どちらも昭和40年頃のエピソードですが、当時の時代背景、誇り高く仕事に向き合っていた企業人の心持ちに思いを馳せることができるのではないでしょうか。

暮らしと産業を支える商船

ファンネルデザインに込められた思いを感じて頂けましたでしょうか。

「船」は、人や物をのせて水上を移動するために作られた乗り物です。ヨット、漁船、艦艇などさまざまな種類がありますが、人や貨物を運ぶための船を「商船」と呼び、私たちの衣食住に必要な製品やエネルギー、産業に必要な原材料は商船が運んでいます。商船三井をはじめとした、様々な船会社が運航していますが、とりわけ島国である日本では、輸出入される物資の99%が商船によって運ばれており、私たちの生活に不可欠な存在です。

商船は、多くの物資を効率よく輸送するという使命を果たすために進化してきました。「貨物船」と称される何でも運ぶ船から、石油を運ぶ船、鉄鉱石を運ぶ船、自動車を運ぶ船というように、それぞれの貨物に最適な「専用船」が登場、同時に大型化も進行してきました。

商船三井グループは、商船を運航し暮らしと産業を支える「総合海運企業」です。運航する商船は多岐にわたり、何でも運ぶ……いわば『海運の百貨店』、これからも、太陽のオレンジファンネルとともに、世界中の港に、様々な貨物を輸送します。

 
私たちの暮らしや産業に必要なモノが、どのような船で運ばれているのか、商船の構造、特徴など気になった方は…

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商船三井グループ
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環境先進企業として、環境負荷低減に向けた取り組みを一層強化していきます。

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AYU.M

記事投稿者:AYU.M

2008年入社。これまで石油タンカーとばら積み船の運航を担当。2017年からはマーケティング部門に所属し、現在、本サイトの運営に携わっています。
当社のLinkedInアカウントの運営も担当していますので、ぜひフォローしてください! 趣味は、韓国アイドルのおっかけです。

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