北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練

事例・実績

北極域研究船「みらいⅡ」運航に向けた
極域サバイバル訓練

海技教育・訓練

プロジェクト内容

商船三井は、北極域研究船「みらいⅡ」の運航開始を見据え、極寒・氷海という特殊な環境下での船員の非常時対応力を高めることを目的に、極域に特化したサバイバル訓練を国内で実施しました。

本プロジェクトでは、法定訓練の枠を超え、当社グループが長年の実運航で培ってきた船員教育の知見を活用し、極限状況における判断力・行動力・チームワークを実践的に養成することを重視しています。
座学と実習、さらに48時間に及ぶ野営を伴う実地訓練を組み合わせることで、実際の運航現場で船員が直面する状況を想定したトレーニングとして、極域運航に必要な知識と経験を一体的に身につけることを目指しました。

本プロジェクトのポイント

  • 極域特有の環境条件を想定した、国内初の本格的サバイバル訓練を実施 
  • 座学・実習・実地訓練を段階的に組み合わせた、安全運航を支える船員向けの実践重視トレーニング設計
  • 限られた情報と装備の中で「船員が自ら判断する力」を鍛えるシナリオ構成 
  • 実船搭載を想定した装備・運用方法の検証まで含めた運航準備支援

この事例で活用した技術・サービス

北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練2-3

取り組みの背景・課題

北極域では、救助がいつ到達するかわからない状況や、急激に変化する気象・氷況など、通常の海域とは前提条件が大きく異なります。
従来の船員教育や一般的な安全訓練だけでは、こうした極域特有のリスクに十分に対応しきれないという課題がありました。
また、極限状態では船員個人の技量だけでなく、チームとしての意思決定や合意形成が安全性を大きく左右します。
極寒下で体力や集中力が低下する中でも、冷静に優先順位を判断し、行動できる船員育成・トレーニングが求められていました。

北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練3
北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練4

取り組み内容

訓練は北海道・紋別市周辺およびサロマ湖氷上を舞台に、約8日間にわたって実施されました。
前半は、極域環境の特性や装備、リスクへの理解を深める座学と実習を行い、後半では実際に屋外環境へと移行し、船員が極寒条件下で行動判断を行うトレーニングを実施しました。
低温海水域でのイマーションスーツ着衣泳、氷上での落水リカバリーや応急処置、防寒対策といった実習に加え、オホーツク海沿岸では48時間の野営を伴う実地サバイバル訓練を実施。
限られた装備と資源の中で、参加者自身が考え、話し合い、行動するプロセスを重視しました

北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練(商船三井)1
北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練(商船三井)2_修正版-1
北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練(商船三井)3
北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練(商船三井)4
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北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練(商船三井)7

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特徴

本訓練の大きな特徴は、極域における「正解のない状況」をあえて再現している点にあります。
詳細なシナリオや指示を最初から与えるのではなく、不確実な状況の中で、何を優先し、どのように行動するかを参加者自身が判断する設計としました。
座学で得た知識が、実習や野営の中でどのように活かされるのかを体感することで、理解が一段深まります。
また、年齢や立場の異なるメンバー同士が、極限状態の中で意見を出し合い、合意形成を行う過程そのものが、訓練の重要な要素となりました。
さらに、本訓練は人材育成にとどまらず、今後の運航を見据えた装備や運用方法、リスクマネジメント体制を事前に検証できる場としても機能しています。
机上では見えにくい課題や改善点を、現場で洗い出すことができました。

成果

訓練を通じて、参加者は極寒環境下での身体的・精神的な負荷を実体験しながら、判断力と行動力の重要性を深く理解しました。
寒さや疲労によって思考力が低下する中で、「何を決断し、何をしないのか」を考え抜く経験は、日常の船上業務にも直結する学びとなっています。
訓練後のレビューでは、各場面での判断やコミュニケーションについて振り返りを行い、気づきや反省点を言語化しました。
これにより、個人の経験がチーム全体の知見として共有され、訓練成果を組織知として次の運航計画へ反映できる状態を整えました。
また、国内での実施により、海外訓練と比べてコストや移動面の制約を抑えながらも、高い学習効果を得られた点も大きな成果です。
北極域研究船「みらいII」運航に向けた極域サバイバル訓練

今後の展望

今回の訓練で得られた知見をもとに、今後は実地訓練時間の拡充やシナリオ設計の高度化を進め、より実際の運航現場に近い船員トレーニングを目指します。
あわせて、装備や教材、事前ブリーフィング、振り返り手法の改善を重ね、学習効果をさらに高めていく予定です。
将来的には、多国籍の乗組員や研究者を含む混成チームでの訓練も視野に入れ、極域という高難度海域に対応できる共通の判断・トレーニング基盤を築くことを目指しています。
本プロジェクトは、北極域での安全運航と研究活動を支えるための中長期的な取り組みとして、今後も継続・発展していきます。

訓練の模様は以下の動画でもご覧いただけます。

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私たちの生活に無くてはならない安全な海上輸送を担う海技員を教育・訓練するため、140余年の歴史の中で培った経験に基づく充実した訓練プログラムを提供し、海運における事故防止や海運の発展に貢献してまいります。

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