海運において最も重要なことは、お客様の貨物を安全に目的地まで輸送することです。そしてそれを支えるスタッフ、とりわけ船員の知識・技術を高めることが、安全輸送の確保のために必要不可欠です。
商船三井(MOL)は140年以上の歴史の中で培った知識・技術や安全対策に基づき、船員の訓練を継続的に実施し、質の高い海運サービスを提供してきました。
私たちの生活に無くてはならない安全な海上輸送を担う船員を教育・訓練するため、当社は充実した訓練プログラムを一般向けにも提供し、海運における事故防止や海運の発展に貢献してまいります。
「船員が正しいやり方を知らず・守らずに重大事故を起こした。」
「危険は常に隣り合わせでもう慣れっこになった。」
企業の品質は働く人材の質で決まります。特に自然を相手にあらゆる状況に対し、常に正しい判断が求められる船上では、一瞬の油断や判断ミスが命に関わる大事故に直結し、企業の社会的信用にまで影響を及ぼします。大小の事故を未然に防ぎ、安全・安心で高品質なサービスを実現するために、必要なことが綿密にプログラムされた訓練が重要です。
当社は140年以上の歴史の中で経験した失敗を二度と繰り返さないために、事故に真摯に向き合い、問題点を解決できるような訓練プログラムを開発してきました。
このようにして得られた英知を継承するべく、日本国内においては1937年、海外ではフィリピンに1993年にトレーニング施設を開設して以来、世界6拠点に当社グループ会社向けの訓練施設を設置し、船員に求められるノウハウ・技術を、新人・ベテラン、職員・部員問わず全ての職位に対して教育しています。
当社は海技免状を取得した船員に対する訓練のみならず、安全運航を担う将来の船員への教育にも基礎段階から取り組んでいます。一例として、2007年に実習船「Spirit of MOL」の運航を開始し、2013年に退役するまで2,200人以上のキャデット(職員候補生)を輩出しました。また、2018年8月にはフィリピンに自営の商船大学「MOL Magsaysay Maritime Academy」を開校し、世界最高水準の安全運航を実現するために、培った教育・訓練のノウハウを存分に発揮しています。
安全運航を核としつつも、貨物の種類や船舶の大きさ等により、各社にとって必要な訓練は異なります。当社は既存のオープンコースへの受け入れのみならず、深い知識・高い技術・最新の設備を駆使して顧客一人ひとりのニーズに合致したオーダーメイドのプログラムの提供も行っております。また、座学や一部のシミュレータを用いた訓練については、オンラインでの在宅開講も進んでいます。
講師は船長・機関長として長年の乗船履歴を持ち、陸上での勤務経験も有するため海運業界全体を深く理解しています。講師認証を得ている講師も多数在籍しており、質の高い教育を提供しています。
永年のMOLグループ船員の教育・訓練で培ったノウハウと、経験豊富な船長・機関長の知見を活かして、実務に則した教育・訓練を提供しています。
提供する訓練は、既存のオープンコースだけでなく、オーダーメイドのプログラムや、設備のみの貸し出しなど、様々なニーズにお応えします。
操船シミュレータを用いた訓練では、船舶の大型化・船種の変化への対応や、限界風速下など難しい条件下での着離桟、初めての船長や新採用航海士の慣熟、チームワーク能力の向上、事故状況の再現と対応など訓練目的は様々です。沿岸・港湾など訓練海域は数多く用意されており、陸上の風景やレーダー画面の映り方まで精細に再現されています。昼間・夜間・薄明・晴天・風雨・雪・霧など様々な条件の下、数値計算モデルによりリアルに再現された様々な船種の挙動を体得できます。船橋内には大型船舶と同様の航海計器も実機が揃っており通常の操作慣熟のみならず、意図的に発生させた異常への対応も訓練可能です。
機関室シミュレータを用いた訓練では、機関当直の通常操作慣熟だけでなく、非常時対応訓練など実機では難しい様々な訓練を実施できます。また複数の機関士がコミュニケーションを取り合い、得られるすべての機材や情報を駆使してヒューマンエラーの連鎖を断ち切っていくEngine Room Resource Management訓練も臨場感あふれる環境で実施できます。
また、実際の主機または発電機を用いた作業実習では、エンジンの原理・構造の知識面だけでなく、通常の運用や点検整備から大掛かりなオーバーホール整備まで総合的なエンジニア実務内容を習得できます。
自動車・コンテナ・原油・ケミカル・LNGなど積荷の性状や取り扱い方法といった基礎・応用知識の座学講習から、VLCCやLNGシミュレータを用いた積荷・揚荷の操作慣熟まで総合的な訓練を実施できます。VLCC/LNGシミュレータにはコンソールのレプリカが導入され、実際と同様のリアルな挙動を示す計器盤を見ながら、ノブやボタンを操作して、荷役作業の手順を頭脳と手指の感覚で学んでいきます。短時間に繰り返し訓練ができるため、経験の浅い船員の習熟訓練や、ベテランの再確認・非常時対応訓練など幅広いレベルでの訓練を実施できます。
甲板部・機関部の職員・部員共に、船上における安全作業の方法、主要機材・工作具の使い方や点検整備方法を、講習による知識と実機を用いた実技により学ぶことができます。甲板部においてはロープワーク、塗装といった軽作業や係船機・錨鎖などの油圧機器の取り扱いなど様々な船上実務を学びます。機関部においては実際の配電盤を用いた電気工事の実習や、溶接ブースでの電気・ガス溶接の実習など、基礎的なものからより高いレベルまで、短時間で集中的にスキルアップしていきます。プールを備える拠点では、救命機器の取り扱いや海上で漂流したときに生存するための訓練なども実施可能です。
世界最高水準の安全運航を実現するために、安全およびそれを阻害する危険とは何かを様々な視点から深く理解し、個々人とチームが危険とどう向き合っていくか、どのように安全行動するかといった危機管理の具体的な手法を学びます。安全教育・訓練の中には、新採用者向けの基礎的な知識・心得に関わる内容から、船舶安全担当者や保安担当者が具備すべき内容の理解、事故災害発生時にその根本原因を究明する能力の向上など多岐に渡ります。
世界6カ国に展開するMOLトレーニングセンターから、利便性の高い立地、ニーズに合った設備がある場所をご選択いただけます。
日本・フィリピン・インド・モンテネグロなどに主要拠点を展開し、各国や周辺地域の船員の教育訓練を行っています。
実際に訓練で使用する設備をご紹介します。
海技教育・訓練を受ける目的や達成目標など、様々なお客様のご要望にお応えするため、事前にヒアリングを行ったうえで、教育・訓練の内容を検討しご提案いたします。事前打ち合わせから海技教育・訓練実施までの流れについてご紹介します。