WIND HUNTER(ウインドハンター)
グリーン水素生産船

クリーンで無尽蔵にある洋上風力で水素を製造・貯蔵・運搬するグリーン水素生産船「ウインドハンター号 (Wind Hunter)」を活用し、温室効果ガスの完全ゼロエミッション達成と世界各地の水素サプライチェーン構築を目指しています。

商船三井(MOL)ウインドハンタープロジェクトのポイント

  • 洋上風力で航行しながら水素を創る・貯める・運ぶを兼ね備えたグリーン水素船「ウインドハンター号」を活用し、完全ゼロエミッションを達成するプロジェクト
  • ウインドハンター号では、商船三井の「ウインドチャレンジャー帆」の技術を活用。航路上の風向・風力によって、5~8%の燃費削減効果を発揮
  • 風況の良い場所まで移動することで水素を生産・貯蔵。弱風時は貯蔵した水素で発電し、プロペラで推進
  • ウインドハンター号で製造した水素を需要のある場所に供給することで、世界各地の水素サプライチェーンの構築を目指す

風と水素で、未来を創る。ウインドハンタープロジェクト

船の動力は時代の流れとともに、人力や風から、蒸気、そして、現代の主流となる石油を使ったディーゼルエンジンへと変化してきました。現在、海上輸送は、世界の国際輸送の99.5%以上(トン数ベース, 2021年時点)を占め、船舶による化石燃料の大量消費は、地球温暖化に影響を与えています。
2018年に国際海事機関 IMOが策定した目標では、2050年までに船舶からのGHG排出量を2008年比、少なくとも50%削減としていましたが、2023年の決議では大幅にこれを引き上げ、2050年までにGHG排出量を実質ゼロにする目標を新たに掲げました。当社はそれに先立つ2021年に、当社グループ会社全体として2050年までにネットゼロ・エミッションの達成目標を掲げ、様々な研究開発に取り組んでいます。

MOLグループの海洋クリーンエネルギー事業全体像

当社は商船三井グループ環境ビジョン2.2を制定、既にGHG削減に踏みだしています。環境負荷低減技術として2022年、船の補助推進力として風を利用するウインドチャレンジャー帆を搭載した本船「松風丸」を建造、商業運航を開始しました。
ウインドチャレンジャー帆は、「硬翼帆(こうよくほ)」と呼ばれる、表面を硬い素材で覆った最先端の帆で、風を効率的に推進力に変えることが可能です。
本船航路上の風向風力にもよりますが、5~8%の燃費削減効果を発揮します。

当社のGHG削減と船舶燃料構成シナリオ

GHG削減と船舶燃料構成シナリオ図

2050年までに、商船三井グループ全体としてのGHG排出量を実質ゼロとし、人・社会・地球の持続可能な開発を推進するためのアクションとして、上流から下流までクリーンエネルギーのサプライチェーンに貢献する”海洋クリーンエネルギー事業”へのトランスフォーメーションを目指します。

海洋クリーンエネルギー事業の全体像の図

想像から創造へ WIND HUNTER
~グリーン水素生産船とは?

ウインドハンターとは、ウインドチャレンジャープロジェクトで培ってきた帆の技術を使い、更なる高度な技術を適用、無尽蔵の洋上風からグリーン水素を創る・貯める・運ぶ、を兼ね備えた船。動く洋上風力発電と水素生産設備が融合した、ハイブリッドプラントです。
推進エネルギーには化石燃料を一切使わず、自ら創り貯蔵した水素を使います。また、その水素エネルギーを陸上向けに供給することも目的とし、完全ゼロエミッションを達成するプロジェクトです。

水素を生み出す

ウインドハンター号は、風の力で航行しながら、水中のタービンを用いて発電し、海水から作った純水を電気分解することにより水素を創ります。
生産した水素は、トルエンと化学反応させることで、水素キャリアの一つであるメチル・シクロヘキサン(MCH)の形に変えて、船内のタンクに貯蔵します。

何故MCHなのか?

水素は、そのままでは気体であり、例えば液体に変えるには-253℃という極低温にすることが必要であり、より高度な安全性が要求されます。
洋上風力で創った水素を、如何に小さいエネルギーで安全な形に変えるかは、大変重要なポイントです。

水素キャリアであるMCHは、
①常温常圧で液体のため、取り扱いが容易
②効率よく安全に水素を貯蔵・運搬できる という特徴があり、高価な設備も不要です。

水素キャリア主要項目比較
水素キャリア主要項目比較

船舶燃料としての水素

当社は世界で初めて、MCHから脱水素した水素を船の推進力に変換することに成功しました。

MCH ウインズ丸による実証実験図

ウインドハンターは強風時、帆を展張して風を捕らえ、洋上風力を使って航行しながら水素を創ります。
風の弱い海域では、帆を収縮させたうえで、貯蔵されているMCHから水素を取り出し、水素を燃料電池に投入して発生させた電力で推進プロペラを回転させ推進します。

水素を届ける

港に近づくと、帆を収縮させ、推進プロペラを使った航行を行います。
現在は複数の人々が関わる着岸作業。遠くない将来、無人航行のため、係船索の運搬など着岸準備は、船内から飛び立った複数のドローンが行うことも検討しています。

船の着岸後は、ドローンのサポートでラインが接続され、MCHの陸揚げが始まります。
荷揚げ作業完了後は、船にトルエンを補給し、再び次の航海へ出航します。

ドローンによる荷役作業 1
ドローンによる荷役作業 2
ドローンによる荷役作業 3

水素を活かす

自動航行する船上で水素を生産できるウインドハンターは、船というモビリティーとしての特徴を活かして、大都市の近隣港だけではなく、地方や離島へのエネルギー供給も可能であり、需要がある場所へ自ら出向いて水素を供給することで、各地域で完結できるクリーンエネルギーの供給源となり得る技術です。
港湾、学校、車、電車等、エネルギーを必要とする消費者への提供など、商船三井は、本技術の普及により、需要のある所へ、よりきめ細やかに、エネルギーとなる水素をお届けすることで、世界各地の水素サプライチェーン構築の足掛かりとすることを目指します。

ウィンドハンターにより水素を活かし、消費者にお届けするイメージ図

想像(Imagination)から創造(Creation)へ、商船三井はWind Hunterの実現に向けて挑戦します。

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環境先進企業として、環境負荷低減に向けた取り組みを一層強化していきます。

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