「BLUE ACTION NET-ZERO ALLIANCE」は、商船三井グループ横断でご提供するカーボンインセットプログラムです。海上輸送に関連するステークホルダーの皆様と代替燃料を使用した低炭素海上輸送サービスを共に創り上げ強化することで、海上輸送をご利用頂いている実荷主・NVOCCの皆様のScope3削減に貢献します。
- 本プログラムにおいてお客様と取引するデジタル証書には、商船三井グループが運航する船隊で実施した特定の低炭素航海に関して、お客様へ割り当てる環境属性(t-CO2eの単位で定量的に記載されるGHG排出削減量データや当該低炭素航海の詳細を含む)が記載されています。
- デジタル証書の割り当てを受けた実荷主・NVOCCの皆様は 、海上輸送サービスからのScope3削減のための活動として、デジタル証書の記載に基づいて統合報告書等へ反映頂けます。
- デジタル証書はブックアンドクレーム方式で取引します。これにより、お客様のScope3削減目標・予算に応じて、お客様が取引対象の低炭素航海に物理的に 関与しているか否かに関わらず、柔軟な取引を行なうことができます。
- 商船三井グループは、デジタル証書の売上を原資に代替燃料を調達し、航海に使用する燃料を代替燃料に置き換えていきます。
商船三井がご提案するデジタル証書の取引は、国際的NPOであるSmart Freight Centreが公表しているMarket Based Measures Accounting Frameworkという方法論に準拠しています。本方法論は企業の自主的な活動により輸送セクターの脱炭素を加速させるため、ブックアンドクレーム方式により低炭素輸送サービスの環境属性を割り当てる方法について取り扱っているものです。
商船三井が発行する全てのデジタル証書は、個別に第三者による検証を経て発行されます。第三者検証機関は、船舶の運航に代替燃料を使用することによって実現済みのGHG排出削減について、商船三井が提出するデータ・計算・デジタル証書の発行前の二重計上を回避するための施策・追加性に関する事実関係を確認しています。
商船三井は、デジタル証書を123Carbon B.V.と協働して構築したプラットフォーム上でご提供します。デジタル証書の複製や重複など、取引過程での二重計上を回避するため、本プラットフォームにはブロックチェーン技術が実装されています。
商船三井がご提供するデジタル証書には、約60のデータ項目の内容が記載されています。データ項目には、低炭素輸送サービスに関するデータ・使用した代替燃料に関するデータ・GHG排出削減量の計算に関するデータ・第三者検証機関に関するデータが含まれています。
商船三井のカーボンインセット事業の歩みは「ネットゼロ」から始まりました。
2023年2月に、商船三井は戦略的パートナーで世界最大のメタノールサプライヤーであるMethanex Corporationとの共同プロジェクト「Net Zero Voyage」を実施しました。「Net Zero Voyage」では、18日間の大西洋航海中に家畜の糞尿由来の再生可能天然ガスから製造されたISCC認証済みバイオメタノールを舶用燃料として使用しました。このバイオメタノールについて、ISCCが発行したProof of Sustainability上では、炭素強度(エネルギー消費当たりの二酸化炭素排出量)がマイナスの数値でした(GHGプロジェクト会計)。後述のデジタル証書発行にあたっては、炭素強度はゼロと見做して計算しました(GHGインベントリ会計)。
2024年2月に、商船三井はオランダのスタートアップ企業123Carbon B.V.と協働して構築したプラットフォーム上で、「Net Zero Voyage」の環境属性をデジタル証書として取引可能な形としました。これにより、海上輸送サービスからのScope3削減を検討するお客様に、低炭素な環境属性をデジタル証書として割り当てることが出来るようになりました。これはアジア船社として初めての事例です。
Book and Claim Communityは輸送セクターの脱炭素のため、統一的なブックアンドクレーム方式のフレームワーク開発を目指して2023年に設立された団体です。 低炭素輸送サービスにブックアンドクレーム方式を適用するのは比較的新しく、このような取引の支えとなる考え方やシステムは急速に発展しています。商船三井が立脚する方法論を公表しているSmart Freight Centreは、取引の実践と企業間のオープンな議論により方法論は更新されていくだろうと言及しています。 Book and Claim Communityは、まさにそのような議論が為される場であり、商船三井は同団体にガバニングボードとして参画した最初で唯一のアジア企業です。
2025年2月、商船三井は「BLUE ACTION NET-ZERO ALLIANCE」を立ち上げました。同プログラム立ち上げにあたり、商船三井グループが運航する船隊での代替燃料を使用した低炭素航海の実施から、デジタル証書を発行しお客様へ割り当てるまでのオペレーションを確実に実行できる体制を整えました。また、パイロットプロジェクトで発行したデジタル証書について、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社、C.H. ROBINSON WORLDWIDE, INC. 、商船三井ロジスティクス株式会社の大手NVOCC3社との取引を実行しました。
「私たち123Carbon B.V.が提供する先進的なプラットフォームで環境属性証明書を発行し、顧客に割り当てを行った最初のアジア太平洋域の海運会社が商船三井であることを嬉しく思っています。商船三井は素晴らしいパートナーであり、私たちのプラットフォームの支持者です。私たちは、商船三井との協力関係を、商船三井の低炭素な事業運営の全体に拡大していくことを楽しみにしています。」
商船三井グループが行っている環境負荷低減に向けた様々な取組をダウンロードできます。
環境先進企業として、環境負荷低減に向けた取り組みを一層強化していきます。