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アフリカを知る、動かす—”アフリカの今”を届ける商船三井の現地サイトもご紹介【TICAD9直前特集】

  • 海運全般

2025年08月08日

2025年8月20日〜22日に横浜で開催される「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」が、いよいよ間近に迫ってきました。商船三井は2019年からTICADに参加していますが、実はアフリカとの関わりは約100年前にまでさかのぼります。
本記事では、TICAD9のプログラムのご案内とともに、商船三井が築いてきたアフリカとの長い歴史と、現在展開している多彩な事業、そしてアフリカ関連の取り組みを紹介する特設サイト「MOLアフリカ」についてご紹介します。

キーポイント

  •  商船三井は100年以上前にアフリカ航路を開拓
  •  発電船やLNG輸送など多様なエネルギー事業を展開
  •  自動車・製品輸送でアフリカ物流網を強化・拡充
  •  ケニア人材派遣で日ア連携と人材育成に貢献
  •  MOLアフリカサイトで現地事業と文化をリアル発信

開幕間近!TICAD9のご案内

商船三井もブース出展、セミナー開催などを予定しており、準備も加速しています。また、当社セミナー以外にもパネリストとして登壇する機会も頂いておりますので、商船三井ブースのみならず、各種セミナーにもぜひお立ち寄りください!

商船三井TICADイベントスケジュール-4

8月20日13時の商船三井単独セミナーでは、最近プレスリリースした“中古船舶を活用した洋上データセンター”の案件でも活躍が期待される発電船についてもフォーカスを当てます。皆様のご参加をお待ちしております。

アフリカに関わる皆様、ぜひ横浜のTICAD9にお越しください。ご関心・ご質問・コラボのご提案など、どんな小さなことでも大歓迎です。事前のお打ち合わせもお気軽にご連絡ください。商船三井のTICAD担当がご案内いたします。

◆ご連絡先はこちら: africa-general@molgroup.com
satoshi.katada@molgroup.com

Kinetics and Mitsui O.S.K. Lines Sign MOU to Develop Worlds First Integrated Floating Data Center Platform発電船と洋上データセンターのイメージ(出典:商船三井プレスリリース

商船三井のアフリカ史

商船三井が、日本とアフリカ東岸を結ぶ航路を開設した初めての日本の海運会社ということはご存じでしょうか?その始まりは大正時代までさかのぼります。
商船三井は、1916年に南アフリカのダーバンとケープタウンへの寄港を開始し、日本とアフリカを結ぶ海上輸送の歴史をスタートさせました。1926年には神戸を起点とするアフリカ東岸定期航路を開設し、モンバサ、ザンジバル、ダルエスサラームなど、アフリカ東岸の主要港を毎月1回のペースで結ぶようになります。1930年代には大型船5隻を投入し、日本製品の海外展開を支える重要なルートとなりました。
1933年には西アフリカ航路も開設され、ラゴスやダカールなどへの就航が始まり、アフリカ全体へのアクセスが広がります。第二次世界大戦後は1951年に定期航路を再開し、1950年代には東・南・西アフリカそれぞれに定期配船が行われるようになりました。輸送日数の短縮や運賃の低下により、荷主からも歓迎されました。

アフリカ東岸線第1船となった「かなだ丸」と戦後にアフリカ線を再開した時の第1船「大阪丸」
左:アフリカ東岸線第1船となった「かなだ丸」
右:戦後にケープタウン折り返しアフリカ線を再開した時の第1船「大阪丸」。第二次世界大戦後、初めて建造された外航貨物船でもあります。(出典:MOLアフリカ 商船三井のアフリカ史

1980年代以降はコンテナ輸送が主流となり、1981年には南アフリカ航路でフルコンテナ船によるサービスが開始。日本や海外の海運会社と連携し、「Safari Service」と呼ばれる共同運航体制も整えました。1990年代には東・西アフリカ航路でもコンテナ化が進み、より効率的で安定した物流ネットワークが構築されました。

コンテナ船「大阪丸」
Safari Serviceの第1船となった商船三井の「大阪丸」(出典:MOLアフリカ 商船三井のアフリカ史

商船三井が手掛ける様々なアフリカ事業

商船三井グループは、南アフリカ、モザンビーク、ケニア、モーリシャスに拠点を展開しており、海上輸送に留まらず、航空輸送のフォワーディング事業、陸上輸送、倉庫事業、人材事業、スタートアップ投資など多彩な事業を展開しています。
各事業の詳細は以前TICAD9に出展!商船三井のアフリカ事業最前線―物流から人材育成、再生可能エネルギーまでにてご紹介した通りですが、改めてセクターごとに全体像をご紹介します。

① ドライバルク船事業

商船三井グループは、様々なサイズのドライバルク船(ばら積み船)を運航し、主に建材用コイルを日本から東・南部アフリカへ輸送しています。また、VLOC(Very Large Ore Carrier)やケープサイズのばら積み船で、ボーキサイトを主に西アフリカから中国などへ輸送しています。ドライバルク船では、港の設備に左右されず荷役できる船型も活用しています。

多数の大型金属コイル、商船三井のドライバルク船TENRO MARU(左)多数の大型金属コイル、(右)商船三井のドライバルク船TENRO MARU(出典:MOLアフリカ

② エネルギー事業

商船三井は、エネルギー輸送分野で培った経験を活かし、LNGインフラ事業、タンカー事業、液化ガス船事業、オフショア事業を展開しています。

LNGインフラ事業 - LNG発電船プロジェクト(モザンビーク・セネガル)
トルコのKarpowership社と共同で、LNGを使った発電船事業「KARMOL」を展開。モザンビークでは、LNGを再ガス化して発電船に供給し、従来の重油からLNG燃料への転換を実現。発電された電力は国営電力会社EDMに供給され、産業発展と電力アクセスの改善に貢献しています。
セネガルでは、FSRU(浮体式再ガス化設備)と発電船を組み合わせたシステムで、国内電力の約15%を供給。LNGを素早く・安価に導入できるこの仕組みは、脱炭素社会への移行を支える「トランジションエネルギー」として注目されています。

西アフリカ発のFSRU、LNG発電船ソリューションの一端を担うFSRU“KARMOL LNGT POWERSHIP AFRICA”がシンガポールからセネガルへ曳航される様子西アフリカ発のFSRU、LNG発電船ソリューションの一端を担うFSRU“KARMOL LNGT POWERSHIP AFRICA”がシンガポールからセネガルへ曳航される様子(出典:商船三井プレスリリース

タンカー事業
商船三井グループは、アンゴラやナイジェリアなどから日本やアジア諸国へ原油を輸送。南アフリカでは、現地企業と協力し、ケミカルタンカーを使った液化化学品や油の輸送サービスを展開しています。

液化ガス船事業
伊藤忠商事やアルジェリア国営企業と連携し、LNG船3隻を運航。アルジェリアからヨーロッパやトルコへLNGを安定供給しています。商船三井は1983年からLNG輸送に携わり、世界一位の規模を誇るLNG船隊と世界トップクラスの実績を誇ります。

アルジェリアからヨーロッパ・トルコ向けにLNGを輸送しているCheikh Bouamama)
アルジェリアからヨーロッパ・トルコ向けにLNGを輸送しているCheikh Bouamama(出典:MOLアフリカ

オフショア事業
ガーナ沖では、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産設備)を用いた原油・天然ガスの生産事業を展開。2016年から稼働しており、現地のエネルギー供給と経済発展を支えています。

ガーナ共和国西部の沖合約60kmで、水深約1,500mの海上に係留され原油・天然ガスを生産するFPSO設備
ガーナ共和国西部の沖合約60kmで、水深約1,500mの海上に係留され原油・天然ガスを生産するFPSO設備(出典:MOLアフリカ、写真提供:三井海洋開発 

③ 製品輸送事業

コンテナ船事業
商船三井のグループ会社である“Ocean Network Express社(“ONE”)”が、アフリカ各国にオフィスを構えてコンテナ船事業を展開しています。通関等を含むコンテナでの輸送手配については、アフリカ関連のロジスティクスを取り扱うMOL Logistics Nairobi Branchのジャパンデスクがサポートします。

自動車船事業
商船三井は、アフリカ全体に自動車船での輸送サービスを提供しています。アフリカは、タンザニア・ケニア等の東アフリカ諸国を中心に日本から年間約20万台の中古車が輸出されている有望な市場です。
インドで製造された建機や大型車を含む新車、南アフリカで製造された新車の輸送も行い、世界有数の自動車船の船隊でこれらの輸送サービスを提供し、アフリカでの自動車の普及に貢献しています。
商船三井が運航する自動車船は「ACE」を冠した船名で親しまれており、統一ブランド「MOL ACE (MOL Auto Carrier Express)」のもと、世界各地でサービスを拡充しています。

商船三井の自動車船Walrus Aceと新造LNG燃料自動車船BLUEシリーズ
(左)タンザニアのDar Es Salaam港に停泊する商船三井の自動車船”Walrus Ace”(出典:商船三井アフリカ)、(右)商船三井の新造LNG燃料自動車船「BLUE」シリーズも2024年から投入されています。(詳細は商船三井プレスリリースをご覧ください)

ロジスティクス事業
商船三井グループは、アフリカの物流拠点としてケニア・ナイロビにオフィスを設立。海上・航空輸送、倉庫保管、越境物流などを提供し、現地の物流ハブとして機能しています。
オフィス内には日本語対応の「ジャパンデスク」も設置されており、日本企業のアフリカ進出や物流相談に対応できる体制を整えています。
また、サブサハラアフリカで広く展開するAlistair Groupに25%出資し、国境を越えた輸送、通関、倉庫、港湾作業などの包括的な物流サービスを強化しています。

Alistair社のトラックと港湾での荷役作業時の写真Alistair Groupのトラックと港湾での荷役作業時の写真(出典:商船三井プレスリリース) 

④ 人材派遣プロジェクト

商船三井は、深刻化する日本の人手不足と、ケニアの若年層の高い失業率という課題を背景に、NPO法人LaMPと連携し、ケニア人材の日本派遣プロジェクトを立ち上げました。
ケニア人は、教育水準が高く、英語・スワヒリ語などの語学力や協調性に優れており、日本企業でも高評価を得ています。日本との経済的な結びつきも強く、アフリカの中でも多くの日本企業が進出している国の一つです。
このプロジェクトでは、日本語教育および各種スキル研修を経て、建設・医療・物流・ITなどの分野での就業を目指しており、すでに一部の参加者は面接やインターンシップを開始しています。将来的には技能実習や特定技能ビザの活用も視野に入れています。
ケニア人材の活躍は、日本企業の人手不足解消に貢献するだけでなく、帰国後のスキル還元や、日系企業のケニア進出の後押しにもつながると期待されています。

ケニアから日本へ - 新たな架け橋となる人材派遣プロジェクトケニアから日本へ - 新たな架け橋となる人材派遣プロジェクト(出典:商船三井アフリカ

「MOLアフリカ」でアフリカの今を知る!

商船三井は、当社のアフリカに関連する事業と取り組みを特集したウェブサイト「MOLアフリカ」を2025年1月に公開しました。

MOLアフリカアフリカ事業紹介ウェブサイト「MOLアフリカ」公開のお知らせ | 商船三井 

MOLアフリカ」では、本記事で紹介した商船三井のアフリカ事業や拠点、歴史に加え、メディア掲載情報やプレスリリース、さらに現地社員によるブログなど、アフリカのを伝えるリアルな情報も豊富に掲載されています。

ブログでは、「バイクタクシーで学ぶロジスティクス入門 – ボダボダから世界を見る」や「命を運ぶフライト:アフリカの医療におけるドローン配送」などビジネスに役立つ実践的な話題から、「赤道直下に雪!?アフリカの絶景「ケニア山」登頂レポート」といった現地社員による臨場感あふれる体験記まで、幅広いテーマを発信しています。

ぜひ「MOLアフリカ」ウェブサイトで、アフリカの魅力と商船三井の最新の取り組みをご覧ください。ニュースレター配信も行っていますので、ご登録いただくことで最新情報を受け取ることができます。

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