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TICAD9に出展!商船三井のアフリカ事業最前線―物流から人財育成、再生可能エネルギーまで

  • 海運全般

2025年07月14日

商船三井は1926年に日本の海運会社として初めて日本とアフリカ東岸を結ぶ航路を開設し、これまで約100年にわたりアフリカ発着の海上輸送を行ってきました。近年では、南アフリカ、モザンビーク、ケニア、モーリシャスに拠点を展開し、海上輸送にとどまらず、航空輸送のフォワーディング事業や、陸上輸送、倉庫事業、人財事業、スタートアップ投資を含む様々な事業をグループで積極展開しています。
そんな商船三井が、この度2025年8月20日~22日に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)に出展いたします。本ブログでは、出展の詳細とあわせ、商船三井のアフリカでの取り組みをご紹介いたします!

キーポイント

  •  今年のTICAD9では、商船三井として3日間のブース展示と、初日に活動紹介セミナーを予定
<商船三井のアフリカでの事業>
  •  発電船ソリューションにより、アフリカの電力供給を担う
  •  ケニア・モンバサに医療用品の物流拠点を建設し、ヘルスケア物流の効率化を図る
  •  重要鉱物輸送を担う物流企業への出資により、高品質な物流サービスを提供
  •  ケニアの若年層に日本企業での就労機会を提供し、人材交流を促進
  •  海洋温度差発電やマングローブ保全・再生を通じて、サステナビリティ課題に対応

TICADとは

TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略称で、アフリカ開発や投資をテーマとする国際会議です。1993年以来、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC)と共催し、アフリカ諸国の多くの首脳や民間企業が参加する会議で、官民の団体や企業から1万人以上が参加する一大イベントです。

【外務省HP】第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)

TICAD9ロゴ - カラー第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)のロゴ

商船三井のTICADへの参加

商船三井の参加はまだ新しく、2019年に開催されたTICAD7において、トルコのKarpower International B.V.社(以下、Karpowership)と共同で発電船事業を紹介するブースを出展したことから活動を開始しました。特に事前に予定はしていなかったにもかかわらず、モザンビーク電力会社が参加していたことから、Karpowership・商船三井連合との間でのLNG発電船プロジェクトのMOUなどを締結できました。
LNG発電船プロジェクトとは、Karpowership・商船三井による“KARMOL”ブランドのもと世界で初めて取り組む、FSRU(Floating Storage and Regasification Unit、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)とLNG発電船を組み合わせた事業で、LNG船で運ばれてくるLNGをFSRUで再気化して発電船に送り、発電船が受け取ったガスを燃料に発電する仕組みです。これにより、発電船の燃料を従来の重油からLNGに転換することができ、陸上にLNGおよびLNG受入基地がない国にも“より環境負荷の低いLNG発電による電力”を供給することが可能となります。

モザンビークLNG発電船事業
2019年当時のモザンビークにおけるLNG発電船ソリューション コンセプトデザイン(出典:商船三井プレスリリース

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カラデニス発電船オヌル・スルタン(出典:Karpower International B.V.社 HP

 

そして、2022年にチュニジアで開催されたTICAD8では、商船三井グループのMOL (EUROPE AFRICA) LTD.が主体で参加しました。コロナの影響がまだ残っている時期でもあり、最後の最後までリアル開催かオンライン開催かも決まらず、参加者もかなり制限されたものでしたが、ビジネス展示でブースを出し、日本チュニジア商工会と共同でレセプションを行うなど、積極的に取り組みました。
当時の様子はこちら!→TICAD8(第8回アフリカ開発会議)に参加しました(過去ブログ)

TICAD85interview

TICAD8参加時の様子

TICAD9へ向けて…

さて、今年のTICAD9では、商船三井全社を挙げて取り組むことに決めました。JETROが主催するTICAD Business Expo & Conferenceにブースを出展し、初日の8月20日(水)13時より、商船三井の活動などを紹介するセミナーを会場内で行います。ブースには打合せスペースもございますので、ぜひお声がけください。ウインドチャレンジャーや自動車船Turquoise Aceの模型も展示予定です。

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TICAD9 MOLブースイメージ

TICAD9の商船三井ブース(イメージ)

商船三井がアフリカにおいて取り組む事業の紹介

商船三井はアフリカにおいて、急速に進むモータリゼーションを支える自動車を輸送する自動車輸送船事業などの海運を中心とした物流関係を主業としております。それらのサービスと共に、それ以外の様々な事業をご紹介いたします。

アフリカの多くの国の電力供給を担う、トルコ企業 Karpowershipとの発電船事業

上でお伝えしたモザンビークのプロジェクトに先駆けて、Karpowership・商船三井連合はセネガル・ダカールにおけるLNG発電船プロジェクトを開始しました。本事業は、西アフリカにおいて最初のLNG発電ソリューションかつ最初のFSRU事業となります。

Karpowershipとの発電船事業
西アフリカ発のFSRU、LNG発電船ソリューションの一端を担うFSRU“KARMOL LNGT POWERSHIP AFRICA”がシンガポールからセネガルへ曳航される様子(出典:商船三井プレスリリース

 

FSRUを用いたLNG発電船

モンバサの経済特区に物流拠点を建設し、アフリカのサプライチェーンを革新させるロジスティクス事業

商船三井は、グループ会社の商船三井ロジスティクス株式会社と共同で、ケニアの大手医療用品製造会社Revital Healthcare (EPZ) Limitedと、ケニア・モンバサ経済特区での医療用品・医薬品の物流センター建設に向けた提携をしております。
アフリカでは医療用品の物流施設が不足しており、製品は海外経由で配送されることが多い状況です。商船三井グループとRevital Healthcareは、ケニア・モンバサに物流センターを建設することで、輸送コストと時間を削減し、アフリカ地域への医療供給を効率化します。両社の専門知識と国際ネットワークを活かし、アフリカの医療物流課題の解決と医療水準の向上を目指します。

物流センターのイメージ図物流センターのイメージ図

Revital工場内の様子Revital Healthcare社の工場内の様子(出典:商船三井プレスリリース

新たに出資を行った東南部アフリカの大手トラック会社Alistair Groupによる重要鉱物輸送事業

商船三井は2024年に、サブサハラアフリカのクロスボーダー物流を担うAlistair Group(本拠地:南アフリカ・タンザニア)に25%の資本参加をしました。Alistair Groupは8か国に拠点を持ち、銅・コバルトなどの重要鉱物を港へ輸送するほか、通関・倉庫・港湾作業・物流DXサービスを提供しています。
商船三井グループの世界的なネットワーク、海運・物流の専門知識と、Alistair Groupのアフリカ東南部地域でのクロスボーダー物流のノウハウを融合させ、アフリカでより幅広く、高品質な物流サービスをお客様に提供していきます。

Alistair社のトラックと港湾での荷役作業時の写真

Alistair Groupのトラックと港湾での荷役作業時の様子(出典:商船三井プレスリリース

アフリカの人財に日本での活躍の場を提供する外国人人材サービス事業

日本では高齢化による労働力不足が深刻化する一方、ケニアでは若年層の失業率が高く、教育を受けた人財が活躍の場を求めています。このギャップを埋めるため、商船三井はケニア人財の育成・紹介プロジェクトを開始しました。

ケニアから日本へ - 新たな架け橋となる人材派遣プロジェクトケニアから日本へ - 新たな架け橋となる人材派遣プロジェクト(出典:商船三井アフリカHP


ケニア人は教育水準が高く、英語・スワヒリ語などの言語能力や協調性に優れ、日本企業でも高評価を得ています。これまで船員以外の分野でも150名以上の外国人ワーカーを支援してきた実績を活かし、建設・医療・物流・ITなど幅広い業種での活躍を目指します。
この取り組みは、日本企業の人財確保とグローバル化を促進するとともに、ケニアとの経済・文化的なつながりを強化する架け橋となります。
本プロジェクトに興味のある方は africa-general@molgroup.comまでご連絡ください。

🌎商船三井では、TICAD9の前日819日(火)に、虎ノ門ヒルズステーションタワー35Fの商船三井の虎ノ門エンパワーメントセンター「SANGO」にてセミナー「ケニア×日本、人財でつなぐ未来」をCCイノベーションアフリカ、北國フィナンシャルホールディングス、WAZIWAZI、AAICとの共同で開催しますので、ご関心ありましたらぜひご参加ください。詳細は以下のご案内をご参照ください。

ケニア人財セミナーのパンフレットはこちら

地球温暖化対策の一環とした事業である海洋温度差発電

海洋温度差発電は、海面における表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組みで、水深600m以深の海域から海洋深層水を汲み上げ、表層水との温度差でエネルギーを取り出すものです。気象に大きく左右されないため、24時間安定的に発電が可能で、発電量を予測できることが特徴です。さらに、発電で使用した海洋深層水でも十分低温であり、水質も変化しないため、水産や農業、空調利用など、様々な分野で二次利用することができ、持続可能な発電システムとして注目されています。
商船三井はモーリシャスでの実施を見据えて事業化に取り組んでおります。

沖縄県海洋温度差発電実証試験設備(久米島町)海洋温度差発電(OTEC)の実証試験設備(出典:商船三井プレスリリース

海洋温度差発電について取り上げた過去ブログはこちら!「海洋温度差発電」がもたらす社会創造 海からこそ導き出せたサステナブル支援 (前編) (後編

商船三井がモーリシャスでの活動で得た知見を活かし、インドネシアで進めているマングローブの保全・再生などのブルーカーボン事業

商船三井は、ワイエルフォレスト株式会社と共同で、インドネシア・南スマトラ州にてマングローブの再生・保全を目的としたブルーカーボンプロジェクトに参画しております。約30年間で約500万トンのCO₂排出抑制・約600万トンのCO₂吸収・固定を目指し、国際認証取得も進行中です。
商船三井は、モーリシャスにおける自然環境回復事業を通じてマングローブの重要性について学びました。マングローブは炭素吸収だけでなく、生物多様性保護や沿岸地域の防災にも貢献します。商船三井は地域住民の生計支援や持続可能な水産・森林経営にも取り組み、自然と共生する社会の実現を目指します。

マングローブの働き

マングローブの働き(出典:商船三井プレスリリース

 

その他、2050年のゼロエミッション達成で不可欠なグリーン由来の舶用燃料の製造などを、今後、アフリカで展開すべく検討しています。

アフリカの皆様、アフリカに関係されている日本企業の皆様、日本企業と組んでアフリカ市場に進出を検討したいと考えている第三国の方々など、是非、横浜にお越しください。また、商船三井の事業にご興味を頂いたり、何かコラボレーションの可能性など、共にアフリカ発展に寄与できるような事があれば、是非、会期前にお打ち合わせができればと考えております。
商船三井の事業領域に拘わらず、どんな些細なことでも、ぜひお知らせください。何かが見つかるかもしれません。商船三井のTICAD担当が、お伺いいたします。

 

◆ご連絡先はこちら: africa-general@molgroup.comsatoshi.katada@molgroup.com

セミナー「ケニア×日本、人財でつなぐ未来にもぜひお越しください。

MOLアフリカ

ウェブサイト「MOLアフリカ」

商船三井のアフリカに関連する事業と取り組みを特集したウェブサイト「MOLアフリカ」もぜひご訪問ください!

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