BLOG ブログ

環境負荷低減へ“モーダルシフト”の取り入れ方~ドライバー不足と2024年問題~

  • 環境負荷低減

2022年07月22日

地球温暖化に伴う環境問題への意識の高まりを受け、物流業界でも「モーダルシフト」という言葉を耳にする機会が増えてきました。「モーダルシフト」とは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶輸送へと転換することをいいます。国土交通省のホームページでは、1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量は、トラック(営業用貨物車)が216gであるのに対し、船舶は43g(約1/5)であると紹介されています。現在では多くの企業が環境負荷の低減に取り組んでいますが、比較的環境負荷低減効果が大きな手法と言えるモーダルシフトについて海陸一貫輸送サービスを提供している視点より、ご紹介させて頂きます。

2024年問題

ECの拡大による宅配便の急増、多品種・小ロット輸送の増加によるトラックの積載効率の低下により物流サービス価格は、バブル期を上回り、過去最高を記録しています。
トラックドライバー需給の将来予想この要因の一つとして、ドライバー不足が挙げられます。少子高齢化による構造的な問題に加え、特に長距離輸送は、中型・大型免許のハードルがある上、拘束時間が長いため、若者が敬遠している状況です。

また、「2024年問題」が大きな課題として取り上げられています。働き方改革関連法で規定されている「時間外労働時間の上限規制」が202441日から自動車運転業務にも適用されることが決まっており、またた20234月以降、中小企業も月60時間超の時間外労働に対し、50%以上の時間外手当を支払うことが、働き方改革関連法で取り決められています。時間外労働の規制が始まることで輸送能力が減少する一方、ドライバーの給与レベルを維持する為に、輸送運賃を値上げする運送会社が増加することが懸念されています。

BCPとしての海陸一貫輸送

近年、日本各地において集中豪雨が発生し、河川の氾濫や土砂崩れにより、道路や鉄道が寸断され、陸上交通網が麻痺するという事態が発生しています。輸送網の混乱により必要な商品が届かず、工場の稼働がストップし、休業を余儀なくされる小売店も相次ぎました。大規模自然災害が増加している昨今、産業と生活を守るバックアップ輸送として、海陸一貫輸送が注目されています。

海陸一貫輸送とは、フェリーシャーシを利用して貨物を集荷、配送地までの途上において、フェリーやRORO船を活用する、長距離輸送に適した輸送手法のことです。

フェリーシャーシは一般的な10トントラック(内容積約53m3)を上回る約73m3の積載能力を有しており、トラクターヘッドと着脱可能な輸送車両です。貨物の集荷後、ドライバーはフェリーシャーシを乗船港まで牽引。フェリーシャーシのみが本船に積載され、長距離を移動。下船港では配送地側のトラクターヘッドに牽引され、輸送される仕組みで、ドライバーも長時間、長距離運転から解放されます。
当社グループがご提供した海陸一貫輸送のサービス事例を、ほんの一部ですがご紹介します。
従来、商品搬入を、陸上輸送(チャータートラック)と鉄道輸送を併用して行っていた荷主様が、九州・四国方面向け(いずれも関西発)を海陸一貫輸送に切り替え。陸上輸送時は 10t車+4t車の計2台で、鉄道輸送時は20ft12ft12ftの計3本のコンテナで輸送していましたが、フェリーシャーシを活用することで1車での輸送が可能になり、結果、輸送コストを1520%削減することができました。また、荷主様からも「1車での納品で、検品が楽になった」との声を頂いております。


それでは実際にどのようにモーダルシフトをしていけばよいのでしょうか?
FAQ形式で素朴な疑問へお答えします。

疑問① 海陸一貫輸送の予約について

  • Q. フェリーやRORO船に乗船する海陸一貫輸送はどのように予約するのでしょうか?
  • A. 予約の際に、必要な情報は、貨物情報(品名、容積、重さ、荷姿など)、集荷地、配送地、集荷希望日時、及び配送希望日時です。まだまだ、電話やFAXでの予約が多い業界です。

疑問② 予約のタイミング

  • Q. 定期的な輸送が発生します。いつまでに予約すればよいのでしょうか?
  • A. 集荷、配送の手配、及び本船のスペース確保も必要となる為、集荷日の三日前迄にご予約頂くことが理想的です。

 
疑問③  B/L

  • Q.  海外輸送と同様、Ocean B/LHouse B/Lは発行されるのでしょうか?
  • A. 海陸一貫輸送では、RORO船やフェリーを利用しますが、国際輸送のようなB/LやHouse B/Lは発行されません。

    海陸一貫輸送では船を利用しますが、国際輸送のようなB/Lは発行されない

    【例】滋賀県草津市に工場を構える磯山電機の発電機を、臼杵市で造船業を営む
     堀田造船まで輸送する。神戸-大分は「フェリーさんふらわあ」に乗船。

疑問④ 海陸一貫輸送に要する時間

  • Q.  国内輸送では「なかいち=中一」、「よくよく=翌々」という言葉をよく耳にしますが?
  • A. 国内輸送でよく耳にする「中一」や「翌々」という言葉は、集荷日を含んで3日目に配送するという意味で使われています。「中二」であれば、集荷日を含んで4日目に配送するということになります。一般的に、国内輸送では貨物の内容に関わらず、より短い時間で貨物を届けることが求められます。
    例えば、関西発九州向けの輸送であれば、集荷地、配送地(*)にもよりますが、海陸一貫輸送もトラック輸送と同様に、翌日配送が可能です。
    (*)港からの概ね100㎞圏内の集荷地、配送地であれば、集荷当日乗船、下船日当日配送が可能。

    貨物をコンテナで輸出する場合、ヤードへの搬入は本船寄港日の何日前迄といった取り決めがされていますが、フェリーシャーシは基本的に出航日当日に搬入されます。集荷したその日に本船に乗船するというケースも多々見られます。また、目的港で荷揚げされたフェリーシャーシも、迅速に受荷主に向け配送されており、トラック輸送と遜色のないリードタイムでサービスを提供しています。

MOLグループの海陸一貫輸送サービス

商船三井グループは「宇徳ロジスティクス」をはじめとして、海陸一貫輸送サービスを手配できる物流会社を複数擁しており、「商船三井フェリー」、「フェリーさんふらわあ」など、グループの海上輸送網を活用し、北は北海道から南は九州まで、多くの荷主様にフェリーシャーシを利用したdoor to doorサービスを提供しています。

また、これらの物流会社は、他社のフェリーシャーシや航路を利用する、「第二種利用運送事業免許」も保有しており、商船三井グループの航路に加え、他社ルートも利用した国内輸送サービスを全国レベルで提供しています。 

“モーダルシフト”は、CO2排出量の削減に大変有効な方法です。商船三井は世界の海で船舶による輸送サービスを行うとともに、国内においてもフェリー・内航サービスを展開し、環境にやさしい海陸一貫輸送サービスを提供しています。

 

 

  • クリーン代替燃料ホワイトペーパー

  • 会社案内

  • 輸送・サービスについてのご相談

  • その他のお問い合わせ