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世界を、超えていく~現地駐在員がレポートする中国のエネルギー事情~

  • エネルギー

2020年09月18日

 商船三井グループでは、世界中のお客様にも質の高いサービスを安心してお届けできるよう、世界各国に拠点をおいています。足元はコロナ禍で海外への自由な渡航は制限されている状況ですが各国の駐在員より現地の“いま”をお届けしていきます! 
 第1回目は、中国の上海より。同国は、港湾取扱貨物量年間約7億トン、世界ランキング(2018)堂々1位、世界2位の経済大国です。足元の経済状況、エネルギー事情、そして現地の食事情まで盛りだくさんでお届けします

商船三井(MOL)のLNG船 LNG Vesta

 

2020年後半に向けての回復状況は・・ 


 最初のコロナウイルスが中国武漢で発見されてから約半年が経過しました。当初驚くべき速さで各地のロックダウンを行い、経済活動全てをストップさせ感染封じ込めを行った中国。感染拡大期だった2020年1-3月のGDPは6.8%と初のマイナス成長を記録しましたが、徐々に経済活動を再開。4-6月は、(他の主要国がマイナス成長となる中)+3.2%のプラス成長を記録しました上半期は▲1.6%の伸びとなり、2020年はプラス成長が見込まれています。8月時点で入手できる経済指標からみると、経済はたしかに回復基調にあるようですが、このままの勢いで回復が続くかどうか、についてはまだまだ読み切れないところです。 

 さて、2018年から度々報じられてきている米中貿易摩擦。特に最近両国の緊張感がさらに増しているように感じます。 

 2018年から続いた米中間の追加関税の応酬については、2020年1月に第1段階となる経済・貿易協定に1 月に署名することでひと段落を迎えました内容としては、2020 年・2021 年の2年間で、中国は、米国から工業製品や農産品、エネルギー、サービスを2,000 億ドル以上追加購入(2017年の輸入額を基準として)することが合意内容の1つに盛り込まれています。

 下図の通り、中国の2020 年上半期の米国からの輸入額は、前年同期比▲4.4%減の564 億ドル。減少幅は、2019 年下半期(10.9%減)から6.5 ポイント縮小。中国の輸入額に占める米国のシェアは、前期(5.9%)から0.2 ポイント拡大の6.1%、順位は2019 年から1上げて3位となっています(中国税関総書発表数値より)いずれにせよ、中国と米国。この2つの大国の関係性、そして中国の対外戦略については、今後も注意してみていく必要がありそうです。 

総人口約14憶人を支えるエネルギーとは?!

人口約14億人を抱える中国。そのエネルギー消費の行方は、世界のエネルギー動向を左右するといっても過言ではありません。昨今の環境問題への意識の高まり、クリーンエネルギーへのシフトが加速する中、中国はどこからどうやって、巨大なエネルギーを調達しているのでしょうか。2019年の中国全体のエネルギー消費は約6割を石炭に依存しており、2014年比較では、全体では14%の伸びであるにも関わらず、石炭消費はほぼ横ばいです。ではかわりに何が伸びているのでしょうか?増加した部分の大半は、天然ガスと非化石燃料によって賄われた事になります。特に天然ガスの伸びは右肩上がりです。

中国の電源構成

 出典:IEA 

日本、及び米国のエネルギー源と比較してみと、中国のエネルギー消費の特徴として、石炭と水力への依存度が高いことがわかります。中国には大小多くの水力発電所がありますが、今年の月末頃に長江(揚子江)の上流で「烏東徳水力発電所」が稼働を開始しました。この発電所、多額の費用を投じた巨大ダムの計画の一つで発電能力は10ギガワット超え、稼働能力世界イチ、ダムの高さは270メートルで世界最高水準、地下部分の建物の高さ、低熱セメント・コンクリートの採用は世界初、と新時代における開発戦略の実施を推進する上で重要な発電所となります。

 

中国、日本、米国のエネルギー源比較

再生可能エネルギーへの取り組み状況は?

世界は環境保護、サステナブルな社会実現の為、再エネへとシフトしていく中、総人口約14憶人の人からのCO2削減は難しいですが、化石燃料の使用を控え、発電の際の温室効果ガスの排出を削減することは可能です。人々の生活を支えるエネルギーとして上述した水力のような地産地消することができ、国のエネルギー自給率もあげることが可能な、再生可能エネルギーへの中国の取り組み状況はというと…

中国の再エネ関連政策は、2017年2月に発表された再生可能エネルギー第13次5カ年計画(2016-2020)が中心となっており、この計画には再エネ発電能力の整備目標以外に、2020年時点で1300万人の雇用、2016~20年に再エネ電力で40兆円の投資を見込んでいます。

中国の再生可能エネルギー導入目標

2019年末時点で以下の通り目標を達成しています。

・非化石一次エネルギー(揚水発電・原子力発電を含)の割合 15.3%  (目標  15% を達成)。

・太陽光発電設備容量 20,468 KW  (目標 10,500KW) を2倍達成。

・電力設備容量ベースでの風力設備は 2.1 億KW  (目標 2.1 億KW を達成)
 内、洋上風力は 593KW (目標 500KW) を達成。

太陽光発電の設置が急速に進み、補助金が1100 億元(1.9 兆円)不足する事態が発生しており、補助金制度の見直し、風力・太陽光電力の買い取り価格の引き下げと、建設枠で全体量の抑制を進めています。山東省、浙江省、河北省、江蘇省、安徽省等の人口の多い地区に新規案件が集中していますが、深刻な用地問題が起きており、今後は人口の少ない内陸部での開発を進め、沿海部の抑制を行なうと見られています。風力発電に関しても、用地問題が起きており、洋上発電への移行が求められています。

  <風力発電の累計設備容量分布> 

中国の風力発電累計設備容量分布

 <太陽光発電の累計設備容量分布>

中国の太陽光発電累計設備容量分布

(出典:NEDO 第13次5カ年計画期間の中国の再生可能エネルギーの政策と状況)

今年11月に開催が予定されていたCOP26が新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大の影響により延期され、その開催までの間に各国におけるCOVID-19からの復興と気候変動・環境対策に関する具体的な行動や知見を共有するため、去る9月3日(木)に日本の環境省が主導でオンラインの閣僚級会合が開催されました。中国も参加しており、その中でどんな議論がなされたのか、また、各国のCOVID-19からの復興×気候変動・環境対策に関する取組の状況・予定などの情報を共有する情報プラットフォーム「Platform for Redesign 2020」も立ち上げており、各国の大臣、国際機関、地方自治体、産業界、市民などからのビデオメッセージの提出を呼びかけており、同サイトに順次掲載していくとのことです。

効率的なエネルギー源、意外に深い麺文化?!

人体にとってのエネルギー源といえば、炭水化物。ダイエット本でよく敵視されていますね…。麺類について、日本にも、ラーメン、うどん、そば、きしめん等々沢山の種類が有りますが、当地中国も負けていません。日本同様に昼食、夜食等で食される事が多いのですが、今回はその定番の一部をご紹介します。
小麦粉文化の麺は長江流域+北となる傾向が有ります。南は麺も有りますが、どちらかと言うと米粉文化(ビーフン[米線]、腸粉)です。

中国の麺文化

①武漢熱乾面:麺は普通、汁無しで、味はゴマダレベースでにんにくが効いている。

②北京ジャージャー(炸酱)面:麺はうどんに似て太くて白く、満腹感が有る。汁は無しで、たれは豆板醤・ひき肉。「炸酱」とは味噌を油で揚げる事。

③重慶小面:麺は普通、汁は辛目だが調節可能。具は揚大豆、香菜、ネギ等。シンプルだが美味しく、とても人気が有る。

④吉林延吉冷面:麺は小麦+蕎麦+でんぷんで作られている。夏に食べる、汁はお酢とゴマ油等でさっぱりした風味付け。中華料理でここまで酢を使った味付けは珍しい。

⑤河南烩面:麺は幅が広く平たく汁とよくからむ。漢字で「烩」は「とろみ」の意味。出汁は羊でとっていて濃厚で白濁。具は羊の臓物と木耳等。チェーン店が多い。

⑥上海冷面:麺は普通、汁は無しで、味はゴマダレをベースに黒酢をかけて食べる。もやしやピーマン等が具になっており、6月~9月にのみ販売される。上海の湿気の多い暑い夏に最適。

⓻蘭州拉面:麺は手打ちで、伸ばしてつくる。汁は胡椒、山椒等の香辛料を使っていて異国風味。具は香菜、ねぎと牛肉、間違っても豚肉は使わない。

⑧西安刀削面:麺は刀でこそぎ取ったものが特徴。麺の名前にもなっている。ほうとうの様な感じで、歯ごたえが有り、満腹感も有る。

中国の麺文化

 海運業はエネルギー需要と密接に関係しており、当社は多くのエネルギー輸送を担っています。これからも輸送を通じて安定的なエネルギー供給に貢献して参ります。

最後までお読みいただきありがとうございました。 

 

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徳元 仙治

記事投稿者:徳元 仙治

1990年入社。物流、コンテナ、木材チップ、鉄鋼原料輸送を経験しました。中国には1994年に語学研修で上海に派遣されて以来、今回(2020年4月~)で4回目の駐在、足掛け13年となります。中国は日々変化を続けており、留まるところを知りません。まさに、「転がる石には苔が生えぬ」です。これからも「右肩上がり」「日進月歩」の中国、台湾に、当社サービスを売り込んでいきたいと思います。体が資本ですので、ランニング、水泳等で体調を維持しています。

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