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コロナ禍でのオンライン・トレーニング~軌道に乗せるための調整と努力~

  • 海運全般

2021年10月25日

コロナウイルスの蔓延は世界を変えましたが、人々の生活を支える物流は変わらず動き続けています。そして、物流を支える船員にはいつの時代でも、徹底した安全意識が必要です。安全意識を持ち続けるために、私たち商船三井グループは、このような厳しい状況でも船員への訓練や教育を止めることはありません。 

その方法とは?答えは 「オンライン」 です。本ブログでは、商船三井の外地研修所MOL Training Center (Philippines), Inc. (MOLTC(P))のメンバーにオンライン研修のどのような点に気を付けているかをインタビューしました。 

Q1: あなた自身について教えてください。 

MOLTC(P) オンライントレーニング

 

私はCathy A. Nicolasです。品質管理担当者/研究開発の責任者として、MOLTC (P)の研修スケジュール策定および研修に必要なハード面の準備、研修内容・メソッド改善のためのリサーチや開発を担当しています。

 

 

Q2: MOLTC(P)について教えてください。 

MOLTC(P)は、商船三井独自の教育ニーズに応えるため、2005年に設立されました。
主な研修設備として、操船シミュレータ、LNG船荷役シミュレータ、VLCC荷役シミュレータ、タービンシミュレータ、油清浄機、ターボチャージャ、主機遠隔操縦装置、調理実習室を備えています。
商船三井の船に乗船経験のある船長・機関長がインストラクターとして在籍し、新人からベテランの職員・部員に実務研修を行っています。 

主機遠隔操縦装置主機遠隔操縦装置

 

VLCC荷役シミュレータVLCC荷役シミュレータ

 

タービンシミュレータタービンシミュレータ

Q3:オンラインでどのような研修を提供していますか? 

2020年6月以来、MOLTC (P) は共通基礎研修、甲板部・機関部・司厨部技能研修、船種別研修の各研修をオンラインで提供しています。すべての座学研修は100%オンラインで提供され、実技を伴う研修はBlended Learning Approach (BLA:オンラインと対面の組み合わせ) のもとで提供されます。

オンライントレーニング LNG習熟コース(1)

オンライン研修 リスクマネジメント&自己分析コース
(2)

オンライン研修 エンジンマネジメントコース(3)

上の写真は、それぞれ (1)LNG船習熟コース、 (2)リスクマネジメント&事故分析コース、(3)エンジン・マネジメントコースのオンライン研修風景です。 
 (1)と(2)では、ズームのブレークアウトセッション機能を使用し、研修生が3つのチームに分かれてグループディスカッションし、その成果をプレゼンをしています。 
 (3) では、インストラクターがホワイトボード機能を使用して、主機関がプロペラにエネルギーを伝えるまでの過程とそのエネルギー損失について、詳しく説明しています。 

Q4:  MOLTC(P)として、オンライン研修と対面研修の違いをどのように感じていますか? 

コロナ禍によりもたらされた限られた受講環境への対応として、 MOLTC (P) は直ちに研修提供を100%オンライン、またはBLAに移行しました。また、オンライン研修のプラットフォームをzoomに決定し、円滑に進めるためのツール採用やガイドライン策定を経て、導入前にインストラクターへオリエンテーションを行いました。研修前準備の段取りやコース構成、コース内容、配信方法、ファシリテーションなどに関するフィードバックを収集することを目的として1~2ヶ月の間、講師やその他の関係者が各コースを見学するように割り当てられました。最も懸念されたのは、インターネット環境の安定と、研修生がzoomアプリに不案内なことでした。

最初は、インストラクターと受講者の双方にとって、学習への取り組みを維持することが課題でした。双方の存在を物理的に感じることのできる対面研修が慣れ親しんだメソッドであるという事実を除けば、オンラインと対面でコースを実施することに大きな違いはありません。オンライン研修の進め方は基本的に対面研修時と同じで、オンライン研修に適用できるように若干の修正が加えられただけです。

コロナ禍を機に、インストラクターは、オンライン研修でも滞りなく運営できることを実感しました。各研修の終了時には、オンラインであっても対面時と同様、定義された学習成果を達成できることが確認されています。 

Q5: 最も実施が難しいトレーニング・コースはどれですか。 

オンライン研修の構想期間中、最も懸念されたのは、リスクマネジメント&事故分析コース等におけるグループディスカッションと、エンジン・マネジメントコース等においてインストラクターがホワイトボードを使用しながらトラブル解説や図面説明をする際のディスカッションを、対面時と同様のレベルに維持できるかどうかでした。 

Zoomアプリの全機能を確認したところ、既存のブレークアウトセッション機能 (受講者をグループごとに振り分ける機能) 、及びホワイトボード機能(インストラクターが画面上にトピックを描く、見せる、または説明することができる機能) にて、この2つの課題に対応できることがわかりました 

Q6: 効果的なオンライン講座を実施するために、取り組んでいることを教えてください。 

MOLTC (P) では、オンライン研修をを効果的に行うためには、研修生がオンライン研修のメソッドに習熟することと、良好なインターネット環境が重要であると考えています。研修生がオンライン研修へ慣れ親しむために、事前に以下の資料を受講者に送付しています。 
  (1) zoomインストールする方法 
  (2) オンライン研修のガイドライン 
  (3) コース教材 
また、MOLTC(P)ではオンライン研修用に高スペックノートパソコンを購入し、インターネット接続に問題が発生した場合に備え、有線LANへの接続切り替えによるシステムの二重化を図っています。 

何よりも、オンライン研修研修生の議論への参加意欲を高めることにより、興味的でやりがいのあるものでなければならないと考えています。 

Q7: 今後の課題と取り組みについてお聞かせください。 

研修受講中にインターネット接続が不安定になったり、パソコンの動作不良が時々発生するので、MOLTC (P) は、このような問題に対処するための方法を常に模索しています。また、問題が発生した場合に備え、インストラクターや研修生のための問い合わせ窓口を設置しています。 

オンライン研修をニュー・ノーマルへ 

オンライン研修のための万全なガイドラインを遵守し、インストラクターと研修生間の相互コミュニケーションをすることにより、オンライン研修でも対面研修と同様の学習成果を達成することが可能です。 
研修方法を従来の対面からオンラインに移行する計画に、各従業員がコミットし、ニュー・ノーマルを創り出した、成功事例といえるでしょう。  

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私たちの生活に欠かせない安全な海上輸送を担う船員を育成するために、商船三井はあらゆる研修プログラムを提供し、海難事故の防止と海上輸送業界の発展に貢献して参ります。 

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